自治労と日本看護協会がトップ会談 ― 看護師の人材確保・処遇改善、労働環境の整備で連携を確認 ―

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自治労と日本看護協会がトップ会談 ― 看護師の人材確保・処遇改善、労働環境の整備で連携を確認 ―

2025/11/26

自治労・石上千博中央執行委員長(左)と日本看護協会・秋山智弥会長(右)

 

自治労本部は、11月26日、日本看護協会ビルにおいて、日本看護協会(日看協)とのトップ会談を行った。本会談では、看護職員を取り巻く厳しい現状に対する問題意識を共有するとともに、今後の人材確保、処遇改善、労働環境の抜本的改善に向けて、両団体が継続的に連携を強化していくことを確認した。

 
 自治労からは、石上千博委員長、山﨑幸治副委員長、森下元総合政治政策局長、小森晃衛生医療評議会議長(和歌山県本部)、牧田彰一郎看護問題対策委員会リーダー(静岡県本部)、原尾健作衛生医療局長が出席した。
 日本看護協会からは、秋山会長、浅香常任理事ほかが出席した。
 冒頭、石上委員長は次のように述べた。
 「医療現場は、物価高騰やエネルギー費の増加、他産業との人材確保競争の激化により、極めて厳しい環境に直面している。人事院勧告による給与改定や看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料など一定の前進はあるが、現場では賃上げの実感に乏しいのが実情だ。夜勤者の確保も年々困難になっており、夜勤手当の改善は地域医療を守るうえでも喫緊の課題である。2026年度診療報酬改定においては、物価高騰への対応と、実効性ある処遇改善、地域医療を支える財源確保が不可欠である。医療は『人』で成り立っており、処遇改善と人員確保なくして、持続可能な医療は成り立たない。今後も看護協会との連携を一層深め、課題解決に取り組んでいきたい」

 これを受け、秋山会長は、次のように応じた。
 「若年人口の減少が進むなかで、看護職員の確保と定着は、ますます困難な課題となっている。看護の仕事は、国民の命と健康を支える基盤であり、その価値に見合った処遇と、安心して働き続けられる環境整備が不可欠である。
 とりわけ、過重な夜勤負担や長時間労働の是正、休暇取得の促進、キャリア形成と両立できる勤務体制の構築など、働き方そのものの見直しが強く求められている。処遇改善は賃金面だけではなく、働く意義や専門性が正当に評価される仕組みづくりと一体で進めていく必要がある。
 自治労の皆さまとは、これまでも現場の課題について問題意識を共有してきたが、今後はさらに連携を深め、ともに制度改善や社会への発信を強化していきたい」
 
 

自治労からの現場実態の報告

  原尾健作 衛生医療局長は、この間の省庁要請などの取り組みの報告や自治労の調査結果をもとに、公立病院における看護職員の深刻な人材不足と定着の課題について報告した。
 調査では、「離職を検討したことがある」と回答した看護師が84%にのぼり、人材流出の危機が現実のものとなっていることが明らかになっている。また、「賃金が業務量に見合っていない、夜勤手当が低い、約33%がカスタマーハラスメントを経験している」といった実態を共有し、制度的・構造的な対策の必要性を強調した。
 さらに牧田看護問題対策委員会リーダーからは、長時間労働や未払い残業の問題について触れ、「超過勤務時間の正確な把握や、未払い残業の是正は、看護職員の権利を守るうえでの基本であり、自治労として今後も現場への啓発活動を継続していく」との発言があった。
 小森晃 衛生医療評議会議長は、看護職員の健康と安全を守る観点から、夜勤負担の軽減を強く訴えた。
 具体的には、勤務時間の適正管理、勤務間インターバルの確保、休憩・休息の確実な取得が重要であると指摘し、「持続可能な看護労働環境の実現には、制度面の整備と現場運用の両面からの改善が不可欠である」と強調した。
看護職場の実態について報告する原尾健作衛生医療局長

長時間労働の実態や夜勤負担の軽減を訴える衛生医療評議会・牧田看護問題対策委員会リーダー(右)と小森晃議長(左)


今後に向けて

  会談では、日本看護協会側からも、すべての看護職員を対象とした処遇改善と労働環境の再構築が必要であるとの共通認識が示された。
 自治労と日本看護協会は、今後も情報共有と意見交換を継続し、看護職員が安心して働き続けられる現場づくりに向けて、連携を一層強化していくことを確認し、会談を終了した。

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