本大会にお集まりの代議員、傍聴者の皆さん、大変お疲れ様です。中央執行委員長の石上です。
第99回定期大会の開会にあたり、本部中央執行委員会を代表し、ご挨拶を申し上げたいと思います。
はじめに、お忙しい中、本大会に駆けつけていただきました、連合・清水事務局長、福田栃木県知事、立憲民主党・野田代表、国民民主党・玉木代表、国民共済coop・打越理事長、そして自治労協力国会議員団をはじめ多くの国会議員の皆さんなど、たくさんの来賓の方々にご出席いただいております。
参加者一同を代表いたしまして、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。
さて、九州地方をはじめ全国各地での記録的な豪雨などにより、土砂災害や河川の氾濫、道路の寸断など、さまざまな災害が発生しています。
被害にあわれた方々にお見舞い申し上げるとともに、現場で奮闘する組合員・職員の皆さんに、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。
また、酷暑が続く中、今大会の運営にあたり、ご協力いただいている栃木県本部の皆さんに、感謝申し上げます。
さて、冒頭、戦後、そして被爆80年に触れておきたいと思います。
戦争の恐怖におびえることなく、安心して当たり前に生きていけることは、まさにすべての人々にとっての基本的人権であるべきです。しかし、ウクライナやガザをはじめ、世界では今なお戦禍が続き、多くの尊い命が日々失われ続け、また、分断と対立の拡大、核による脅しなど極めて深刻な状況が続いています。
あらゆる人の命や尊厳、未来への希望までも奪う、すべての戦争・戦闘の一刻も早い終結を願ってやみません。
第二次世界大戦から80年、戦後日本は戦争を行うことも、まきこまれることもなく平和が守られてきました。しかし、80年が経過し、戦争・被曝経験者も年々減少する中で、悲惨な記憶が風化しつつあります。
沖縄での地上戦、そして広島・長崎での原子爆弾による惨禍は決して忘れてはならず、戦後守り続けてきた今ある平和の重要性を胸に刻み、伝え続け、次世代に戦争のない世界を引き継ぐことこそ、今を生きる私たちの責任であり使命だと言えます。
そうした責任と使命のもと、世界で唯一の戦争被爆国として、核の恐ろしさを世界に発信するとともに、世界平和のため、対話と協調を軸とした平和外交をより推進する、それこそが日本の役割です。
今大会には、本部として特別決議も提出させていただきます。
平和で基本的人権が守られることは、私たちがめざす、そして誰もが安心して暮らし、働き続けることができる社会の基礎であり、これからも、戦争の惨禍を繰り返させない、この誓いを新たに、自治労として、恒久平和の実現にむけて歩みを進めていく、このことを今大会で皆さんと確認・共有し合いたいと思います。
その上で、私からは、大きく3点にわたって申し上げたいと思います。
1つ目は、7月の参議院選挙についてです。
まずは、参議院選挙における取り組み、大変お疲れ様でした。組織内候補「岸まきこ」、そして佐賀選挙区「富永あけみ」、大分選挙区「吉田ただとも」など、組織内・政策協力をはじめ、すべての推薦候補の勝利にむけて、ご奮闘をいただいた各県本部・各単組、そして組合員の皆さんに、改めて、心より敬意と感謝を表したいと思います。
皆さんのご協力もあり、「岸まきこ」は二期目の当選を勝ち取ることができました。今後のご奮闘・ご活躍を強く期待したいと思います。
しかし、自治労の組織力・結集力が問われる選挙であったにも関わらず、結果として約14万8千票と、「組合員1人1票以上」、最低30万票以上という目標に遠く及ばなかったことは、厳しく受け止めなければなりません。
公務員の賃金・労働条件や公共サービスに関わる多くの事項は、法律や条例等で定められ、国会や地方議会という政治の場で決まる以上、自治労は政治との関わりは切れるものではありません。
賃金・労働条件は当然ながら、「地域公共サービス」の維持・拡充や自治労が掲げる政策の実現、そして、懸命に現場で奮闘する組合員の声を政治・政策に反映させるためにも、私たちの代表を政治の場に送り出していくことが極めて重要であり、それが労働組合として政治闘争に取り組む意義であることは言うまでもありません。
一方で、今回の結果の根本には、自治労組織全体の活動力量が低下している、そのことが挙げられます。今後、本部としても、しっかりと総括していきますが、県本部・単組でも総括いただくとともに、日常的な活動を活性化させ、組合員の結集力を高め、次なる取り組みにつなげていただく、このことをお願いしておきたいと思います。
今回の参議院選挙により、衆参ともに少数与党となりました。
そもそも、昨年の総選挙、7月の参議院選挙の結果は、「政治とカネ」の問題を発端として、この間の自民党政治への国民の不満があらわれた結果であり、政治全体を変えていくため、政権交代をめざす、そのための取り組みを改めて強化していく必要があります。
参議院選挙では、当初、物価高などへの対策として減税議論が活発化しましたが、選挙戦中盤以降は、保守的・排外主義的な主張が広がりました。結果、新興政党が大きく伸長しましたが、中には、平和や人権、多様性などを軽視・否定する政党があることに留意しなければなりません。
参政党は、公務員に対して「極端な思想の人たちには辞めてもらう」など、憲法に保障された思想・信条の自由の侵害、公務員弾圧のような主張もおこなわれており、警戒感をもって注視していかなければなりません。
秋以降、参院選後初の本格的な論戦の場となる臨時国会が始まります。
すでにガソリン減税について、与野党で具体的な協議が進められているなど、減税政策が今後議論の俎上にのぼることが想定されます。
物価上昇が続く中、確かに対策は急務です。しかし、5月の中央委員会でも述べたように、人口減少、少子・高齢化が一層進む中で、国民・住民が安心して暮らしていくために「どのような社会をつくるのか」という根本的な議論が欠如していると言わざるを得ません。
とりわけ、私たちが担う公共サービスは社会のセーフティネット、国民・住民の安心・安全な暮らしの基盤であり、それは税によって成り立っています。そうしたことを踏まえれば、地域公共サービス、地方財政を棄損させないことが大前提であることは言うまでもありません。
本日、野田代表、玉木代表にお越しいただいておりますが、働く者・生活者の立場に立った政党として、両党には、減税議論だけではなく、生活者の暮らしを守りながら、国民生活に不可欠な公共サービスを確立し充実する視点を欠かさず、将来社会へ責任ある政策論議を展開する、そうした観点で国会での議論をリードしていくことを強く求めておきたいと思います。
2点目は、2025人事院勧告と、秋の自治体確定闘争にむけた取り組みについてです。
まずは、人勧期署名行動について、自治労として約55万筆の署名を集めるなど、精力的に取り組んでいただいたことに、改めて感謝申し上げます。
8月7日、人事院は月例給・一時金ともに引き上げる勧告を行いました。
4年連続の月例給と一時金の引き上げ勧告となり、改定率も1991年以来34年ぶりに3%を超え、課題となっていた中高年層においても最低でも2.7%の引き上げとなり、再任用職員の一時金水準の改善など残された課題もあるものの、勧告全体を見れば、懸命に職務に従事する、組合員の皆さんの期待にも一定応える内容であると言えます。
今後は人勧の取り扱い方針の決定、そして給与法の成立が焦点となります。
政治情勢は不透明な状況にありますが、給与法が政争の具となることは許されません。
実質賃金もマイナスが続いており、公務・公共サービス労働者も当然賃上げが必要です。本部としては、早期の給与法改正等にむけ、公務員連絡会に結集し、取り組むとともに、各自治体における労使交渉を尊重するよう、総務省・国会対策を強化していく、決意を申し上げておきたいと思います。
その上で、自治労としての最大のたたかいは、秋の自治体確定闘争です。
詳細については、この後の「当面の闘争方針(案)」で提起いたしますが、重要なことは、人勧の内容を職場・地域に反映させ、現場で奮闘する組合員の期待に応え、さらに賃金・労働条件の改善・底上げを勝ち取っていく、ということに尽きます。
昨年の自治体確定闘争では、地域手当など給与制度の見直しもあり、前年以上に単組での精力的な交渉が展開され、労使の自主決着による給与改定の実現や、地域手当について国水準以上の引き上げ、水準維持などを勝ち取った単組もあります。
一方で、要求・交渉すら行わなかった単組もあり、単組間の取り組みに格差が拡がっています。
加えて、経営難を理由に人勧未実施や賃金カットが続く病院・医療職場、さらには、公共民間職場など、すべての公共サービス職場での賃上げに波及させていく、その決意をもち、単組・県本部・本部が一体となって、産別統一闘争である自治体確定闘争に全力で取り組む、このことを今大会で誓い合いたいと思います。
最後に。むこう2年間の課題については、運動方針案で提起いたしますが、私からは、今後の自治労組織の強化・運動の底上げにむけた思いについて述べておきたいと思います。
賃金・労働条件改善、公共サービスの維持・拡充、労働者・働く者の立場に立った政策実現、そのための政治の取り組み、そうした自治労運動のすべてに関わるのは、運動方針でも掲げた通り組織の強さであり、その源泉は多くの仲間が自治労に結集しているという、数の力です。
しかし、組織人員の減少をはじめ、現在の自治労が直面している厳しい現実を踏まえたとき、本部・県本部・単組それぞれが今一度振り返り、議論していく必要があると思います。
言うまでもなく、労働組合の基本的な役割は、賃金・労働条件や職場環境の改善をはかることです。日頃から組合員の声に耳を傾け、職場課題を丁寧に点検し、出てきた課題や要望を形にし、要求・交渉によって、一歩でも前進・改善をはかる、この積み重ねの中で、組合員の信頼を勝ち取り、組合への結集力を高めていかなければなりません。
さらに、公共サービスは社会全体での支え合い、連帯・助け合いの仕組みであり、労働組合の原点・根幹も同じものです。当然のことではありますが、単組は職場で働く組合員と真摯に向き合い、県本部は単組の活動に寄り添い支援する、そして本部は県本部・単組の活動を全面的にサポートし支えていく、それぞれが伴走し、支え合う、こうした基本的なことを実践し続けていくことが重要です。
これは、2023年に決定した第6次組強計画の前期の取り組みとして、確認してきたことであり、今こそ、実行が求められています。
こうした認識に立ち、今大会では、「運動と闘争の強化にむけた産別体制と財政の構造改革」に関わる組織討議案をお諮りしています。この間、さまざまなご指摘もいただいておりますが、組合員の負託に応える力強い運動を展開し、未来に向かって前進していく組織としていくためにも、運動推進体制の構築と安定した財政基盤の確立が不可欠です。自治労の未来を皆さんとともに作りあげたいという思いです。ぜひ熱心なご議論をお願いしたいと思います。
以上、特徴的な点のみお話させていただきましたが、自治労を取り巻く課題は多岐にわたります。
今大会における、代議員の皆さんの、活発かつ真摯な討論によって本部方針を補強いただくことをお願い申し上げるとともに、私自身、自治労運動の先頭に立ち、引き続き、全力で取り組むことをお誓い申し上げ、本部中央執行委員会を代表してのご挨拶とさせていただきます。
3日間、よろしくお願いいたします。
【開催県本部歓迎あいさつ】
石塚利雄 栃木県本部委員長

自然豊かで季節感あふれる栃木県へようこそ。栃木の組合員はこの大会に4色のリストバンドを付けて参加している。餃子の美味しいお店のことなど、何でも気軽に聞いてほしい。自治労大会の県内開催は1963年の日光大会以来となる。大会成功にむけて全力を挙げたい。