賃上げ見送り提案 越年で交渉、大衆団交で「撤回」勝ち取る(石川県、公立松任石川中央病院労組)

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賃上げ見送り提案 越年で交渉、大衆団交で「撤回」勝ち取る(石川県、公立松任石川中央病院労組)

2024/05/14

公立松任石川中央病院労組
人勧完全実施を獲得

 公立松任石川中央病院(石川県白山市・企業団)は、昨年の人事院勧告の凍結を提案。同労組は組合員参加の大衆闘争でプラス人勧完全実施を勝ち取った。

 民間春闘の動向と診療報酬改定は医療従事者の賃上げに有利な一方、経営の厳しさを理由に賃上げを渋る公立病院も。「追い風」を生かすには交渉力が必要だ。

 異変は、昨年10月下旬に組合が出した秋闘要求書に対する当局側の反応にあった。例年通りの「国の人事院勧告、県の人事委員会勧告を尊重した給与改定を行い、4月遡及支給、一時金改定を行うこと」という要求項目に対し、事務折衝に当たった当局側が口を濁した。「…難しいかもしれない」。

 病院側は「4月以後、コロナ対策の支援補助金が大幅に減額され、経営が厳しい。勧告通りの実施は困難で凍結も考えている」と説明。組合は、「昨年までのコロナ補助金、患者受け入れで病院の決算は大幅黒字だ。一方的な勧告凍結は、到底組合員の理解を得られない」と撤回を要求(尾西辰朗書記長)。当局は「1月からの給与改定は応じるが、4月遡及実施、一時金改定は見送りたい」と回答してきた。 

 この回答に組合員はもちろん、管理職からも疑問の声が上がる。県本部組織拡大専門員を交えた執行部交渉で改めて組合の意思を示した。12月1日の院内組合員集会には県本部の宮鍋正志委員長も駆けつけ、組合員の3割近い103人が参加。大衆団体交渉と撤回を求める職場署名の実施を確認した。

 12月6日の団体交渉には91人の組合員が参加。署名は12日間でほぼ全員の組合員と一部管理職も名前を連ね、361人分を病院側に提出して組合員、職員の意思を示した。この過程で当局は、11月~1月の経営状況を再度検討し、最低到達ラインを示した上で組合と協議したいと姿勢を変えた。結果、12月の経営状況は、最低到達ラインをわずかに上回った。

 1月1日の能登半島地震で、松任石川中央病院は奥能登地域の病院から搬送されてきた患者の受け入れ等を行う災害拠点病院の役割を担うことになる。騒然とした状況の中でも交渉を継続し、1月27日開催の最終団体交渉で「県人事委員会勧告完全実施、4月遡及、一時金0・1ヶ月増、3月給与支給日に差額の支払い」で合意し、2月1日には「確認書」を締結した。

 南正光委員長は、「組合員の反応が早く、署名、交渉参加、声かけの後押しは大きい。具体的な最低到達ラインを示させ、話し合えたこと、組合の臨時ニュースでこれらの情報を共有できたことが力になった」と振り返る。

「労使は対立しても『義理人情』は大切だ」
と話す、南 正光委員長

「今後は県の勧告準拠(情勢均衡原則)を基本とする」という最終確認書を2月26日に結んだ際、組合から「黒字経営達成のため労使双方においても努力する」の一文を加えた。厳しく対立した総務部長がGood!と親指を立てたことが印象に残る。

労使は対立もするが、義理人情は大切だ、お互いに。

 

≪解説≫2024年度診療報酬改定・6月賃上

地域医療守る公立病院の医療職員全員・一律ベアを】

 2024年の診療報酬改定で、ベースアップ評価料の新設と、入院基本料・初再診料の引き上げによる医療機関で働く職員の賃上げが措置された。

 地域医療を守る公立病院でも賃上げを確実に進めるため、自治労は次のように取り組む。


① 医療機関で勤務する全ての職員の賃金を2.3%以上引き上げ、6月から賃上げ(遡及を含む)を求める。
② 診療報酬改定による賃上げに関する要求書を提出し交渉を開始し、労使合意の上で賃上げを行うことを確認する。
③ 2024年6月3日までにベースアップ評価料を申請し、6月から算定させる。賃上げの対象者は、医療機関で勤務し直接雇用する全ての職員を対象とする。
④ 賃上げ方法は、人事院勧告とは分けて考えるため、月額手当による改善を基本とする。賃上げ額は全職員均一の賃上げ額、賃上げ開始時期は6月から実施を基本とする。

機関紙じちろう2024年5月15日号より転載

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