労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定についての書記長談話

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労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定についての書記長談話

2024/01/09

 1月5日、自治労は福岡市水道検針員に対する労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定について、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。

労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定についての談話

1.福岡市時間給制水道検針員における労働協約の地域的拡張適用の意義
 1月5日福岡県知事は、福岡市の時間給制水道検針員について、労働協約の地域的拡張適用を決定した。この間の自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンと自治労福岡県本部の奮闘に心から敬意を表したい。
 この決定は、自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンが、福岡県知事に福岡市全域における時間給制水道検針員の賃金と有給の裁判員休暇、社会保険と労働保険に関する権利を最低基準として定めた労働協約の地域的拡張適用の申立てを認めたものである。
 「労働協約の地域的拡張適用」は、申立てのあった労働協約に定める労働条件を、当該地域における公正労働条件とみなして、協約当事者である労使以外の労使にも適用することで、労働条件の切下げ競争を防止し、労働条件の維持改善を図るとともに、労働者間、使用者間の公正競争を確保しようとすることを目的としている。
 福岡市の水道検針業務は3つのブロックに分けて委託されている。このうち西部ブロックでは、2019年に受託企業が変わり、時間給制水道検針員の歩合給が約3割切り下げられた。今回の労働協約の地域的拡張適用によって、西部ブロックでの賃金が、時間給制水道検針員によっては月額2万円程度の賃金引上げが見込まれるなど、大幅に改善されることは大きな成果である。
2.事例
 労働協約の地域的拡張適用の申立ては、労働組合法が成立した1947年から通算で30件、このうち適用事例は本件を含めて12件(連合発足後では4件)である。今回の決定にある賃金の最低基準については、1958(昭和33)年の滋賀県知事決定以来65年ぶり、1959(昭和34)年最低賃金法施行以降では初めてのこととなった。
 また公共サービス労働者を対象とした申立て、パート・有期雇用労働者を対象とした申立て、そして労働保険・社会保険給付のための措置を求めた申立してとしても初の決定である。
3.地域公共サービス労働者における労働協約の地域的拡張適用を広げよう
 自治労は、労働協約の地域的拡張適用により、地域における公正な労働条件の基盤を整え、競争入札制度や指定管理者制度によって行き過ぎた経費削減が賃金労働条件の切り下げを生み出している負の側面を食い止める効果があると確信する。
 労使関係によって条件設定が可能である労働協約の地域的拡張適用は、業種や職種に着目し、ダンピングを防ぎ公正な労働条件を実現する新たな運動の地平を切り開くことができる。
 自治労は、地域の公正な労働条件を地域公共サービスにたずさわる多くの仲間に波及させるべく、労働組合の仲間を増やし、労働協約の地域的拡張適用を広げる運動に取り組む。
2024年1月5日
全日本自治団体労働組合
書記長 伊藤功

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