2025/08/28
都市公共交通評議会は8月21日、2026年度の国土交通省予算に関わる第1次要請を行い、公営・地域公共交通関係予算の拡充、人員不足、処遇改善のための施策強化などを強く要望した。過疎化、高齢化が進み地域住民の移動確保が喫緊の最重要課題となっているなか、それを支える乗合バスは減便、廃止に歯止めがかからず、地方鉄道の維持も厳しいなど地域公共交通は一段と困難な状況に置かれている。
今回の要請はこうしたことを踏まえ、地域の公営・公共交通の存続・拡充、それを担う人材確保策等を求めることを重点に行ったもの。要請には、山﨑幸治副委員長、森下元総合政治政策局長、都市交評の福田智議長、松岡真二副議長、佐田悟副議長、青山浩二事務局長が参加、国土交通省は地域公共交通を担当する池光崇公共交通政策審議官が対応した。

池光審議官は、要請内容に理解を示し「個々の要請については、各担当部署に伝え、別途お答えする」と述べた。そのうえで、来年度の地域公共交通に関わる重点施策については、今年度から全国の「地域の足」「観光の足」を確保するための「交通空白」の解消にむけた取り組みを後押しするため、「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」を展開していることを説明。政府の骨太方針にも盛り込み、交通事業者間にとどまらず多様な分野の業種間連携・協働促進、まちづくりと地域の生活圏の形成等と連携した交通サービスの確立等により、「地域社会を支える地域に適した交通の実現」をめざす考えを示した。
また、耐震化、カーボンニュートラルの推進、時代や環境変化に対応した交通・運輸業のサービス確保等により「持続可能で安全・安心な社会を支える、強くしなやかな交通基盤の実現をめざす」と強調した。
都市交評の参加者からは、京都や名古屋における公営交通の現状や課題、人員不足対策強化の必要性、地域公共交通活性化再生法(地活化法)に基づき設置されている地域公共交通会議が大都市においては十分に機能していない現状などを訴えた。最後に福田都市交評議長が、「公営交通、大阪メトロなど都市交評の仲間は大都市、地方中核都市で交通事業を運営している。地活化法を有効に活用し地域の移動を引き続きしっかりと担っていくことができるよう、施策を講じていただきたい」と述べ、公営・地域公共交通に関わる予算確保を強く要望し、要請を終了した。
2026年度の政府予算の概算要求は今月末に出されることになっており、都市交評はこれを受けて公営・地域公共交通関係予算の拡充や交通事業の人員確保、職員の処遇改善などにむけて「地方自治における公共交通のあり方を考える議員懇談会」とも連携し、国土交通省対策、国会対策等に努めていく。
国土交通省への要請事項は以下添付PDFの通り。