地域に根ざす医療と連帯を確認 2026年度地域医療セミナー開催

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地域に根ざす医療と連帯を確認 2026年度地域医療セミナー開催

2026/02/25

2月22日~23日、東京・TOC有明にて「2026年度地域医療セミナー」を開催した。テーマは「地域に根ざす医療と連帯 一人ひとりの力が未来をひらく 持続可能な地域医療体制の構築をめざして」。会場には40県本部から約370人が参加し、初日の全体会はウェブ併用で実施、オンライン約70人が参加した。

 初日の全体会では、原尾健作事務局長が衛生医療評議会をめぐる情勢と課題を提起。公立病院の厳しい経営状況を示すとともに、自治労の取り組みを報告した。
 あわせて、2025年度補正予算や重点支援地方交付金、2026年度地方財政対策、2026年度診療報酬改定の動向を整理し、政策の全体像と現場への影響を解説。
 さらに、衛生医療評議会が実施したアンケート結果を今後の政策提言に活用していく考えを示し、組織の強化・拡大の重要性を強調した。

■全体会・講演

講演①「2040年にむけた公立病院の展望」
労働者福祉中央協議会(中央労福協)事務局長 佐保昌一さん
 医療提供体制と医療保険制度を軸に、日本の医療制度の概要や、中央社会保険医療協議会(中医協)の役割、診療報酬改定の仕組みを解説。制度決定が医療現場に与える影響を分かりやすく示した。
 また、公立病院の歴史と役割に触れ、「公立病院改革ガイドライン」で不採算医療や特殊部門の提供が求められている以上、黒字経営を前提とすることには限界があると指摘。民間では担いきれない医療を公立病院が担い、その役割を国や自治体が適切に評価・支援する必要性を強調した。公立病院を地域医療を支える公共的インフラとして位置付ける視点の重要性が提起された。
 
講演②「Will・Can・Hopeで考える 自分自身と仕事のつなぎ方と労働組合の可能性」
株式会社BeOne 代表取締役 丹羽野真也さん
 「生きるとは何か」という問いから講演は始まった。人生は設計どおりに進むものではなく、偶然にどう応答するかの積み重ねであると指摘。成功の転機の多くが偶然だったという「計画的偶発性理論」を紹介し、行動することで偶然の機会を増やすことの重要性を説いた。
 さらに、キャリア支援をめぐる組合員ニーズの変化にも言及。二要因理論をもとに、衛生要因(不満の解消)はこれまでの労働組合が積み重ねてきた成果であると整理したうえで、今後は動機付け要因(職務充実)や内発的動機づけを高める取り組みが求められると提起。個人の成長と組合活動をどう結びつけるか、新たな可能性が示された。
 

■国会レポート

自治労協力国会議員 岸まきこ参議院議員
 全体会の最後には、自治労協力国会議員の岸まきこ参議院議員が会場に駆けつけ、国政での取り組みについて報告した。
 これまでの公立病院支援や診療報酬改定をめぐる動向に触れ、一定程度の賃上げや物価高騰対策が講じられてきたことを説明。今後、夏以降に現場の状況を検証しながら、必要な支援金や助成金の確保を求めていく考えを示した。
 さらに、2024年秋に公立病院の現場を回り、公立病院の赤字問題を国政の場で取り上げてきた経過を報告した。立憲民主党の公立・公的病院プロジェクト会議を立ち上げ、普通交付税の引き上げや建築単価の見直しなどの取り組みにつなげてきたことも説明した。
 一方で、病院職員のみが賃上げの流れから取り残されている現状にも言及。地域医療を維持するためには、公立病院の経営問題への抜本的な対策が不可欠であると強調した。今後も衛生医療評議会と意見交換を重ね、現場の声を政策に反映していきたいと述べた。
 
 2日目は、3つの分科会に分かれて議論を深めた。概要は以下のとおり。

■分科会

①看護師分科会:「看護師あるあるの職場の夜勤に関する課題から1つ解決策を考える」
第1分科会の講師陣と参加者の様子
 日本看護協会労働政策部・堀川尚子さんが「『休みない夜勤』を終わらせよう」と題して講演した。夜勤形態と離職率の相関について具体的なデータが示され、2交代制・16時間夜勤では離職率が高い傾向にあること、また年間休日120日以上の病院では離職率が低い傾向にあることが報告された。これらは自治労衛生医療評議会が実施した夜勤と離職に関するアンケート結果とも一致しており、夜勤問題は個人の努力に委ねるものではなく、制度設計の課題であることが提起された。
 続いて、高橋梨絵さん(新潟県本部)より「ニッパチ闘争」の取り組みが報告された。現場の声を丁寧に集め、労働組合が結集して改善を勝ち取ってきた運動の意義が共有された。
 グループワークでは、夜勤の課題をもとに自ら要求項目を作成。持続可能な夜勤体制を構築するためには、職場環境の整備が不可欠であることを確認した。
 
②医療政策分科会:「地域に必要とされる医療提供体制を考える」
第2分科会の講師陣と参加者の様子
 厚生労働省医政局地域医療計画課長・西嶋康浩さんより「新たな地域医療構想ガイドライン」について講演が行われた。これまでの病床適正化の議論に加え、今後は高齢者人口の変化や人口減少を前提とした医療提供体制の再構築が不可欠であることが示された。とりわけ、2次医療圏ごとの人口動態を踏まえた体制整備の重要性が強調された。
 一方、公立病院では赤字経営の拡大が続き、人件費削減や経営形態の見直しを求める議論も強まっている。自治体病院は、公共性と経済性の両立という構造的課題を抱えており、分科会ではその現状を踏まえた経営データの読み方についても学習を深めた。
 再編統合の現場報告では、平川浩二さん(佐賀県本部)、大嶋友範さん(新潟県本部)、中本健太さん(広島県本部)、塙ゆかりさん(宮城県本部)から、それぞれの地域の取り組みと課題が報告された。
 パネルディスカッションでは、参加者からの質問をもとに議論を展開。再編統合は単なる効率化ではなく、地域医療を守り、職員の処遇を確保する視点で進めるべきであるとの認識を共有した。
 
③コ・メディカル分科会:「適正な労働時間の管理・考え方について」
第3分科会の講師陣とグループワークの様子

 元奈良労働基準監督署長・尾形賢一さんが講演。労働基準監督署の役割を踏まえ、始業前準備や休憩中待機なども「使用者の指揮命令下」にあれば労働時間に該当するとの説明があった。
 医療現場では前残業やサービス残業が常態化しやすい。長時間労働は健康リスクだけでなく医療安全にも影響すること、適正な労働時間管理は医療の質を支える基盤である。
 その後、グループワークを行い、職場の時間外の考え方について議論を深めた。 労働時間を正確に把握し、組織的な改善につなげる必要性を確認した。

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