2026/01/07
1月6日、自治労は昨年12月26日に政府が閣議決定した「2026年度政府予算案および地方財政対策」について、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。(最下段よりWordファイルをダウンロードできます)
2026年度政府予算案・地方財政対策に関する談話
1. 政府は2025年12月26日、2026年度の政府予算案を閣議決定し、一般会計総額は約122.3兆円となり、昨年から7兆円増えて2年連続で過去最大となった。歳出では、全体の3割を占める社会保障関係費が前年から7,621億円増の39兆559億円となった。物価高や賃上げのため、診療報酬を全体で12年ぶりに引き上げることなどを反映している。また、防衛費は初めて9兆円台に達した。一方で、国債の償還や利払いにあてる国債費は約31.2兆円となり過去最大となった。そのうち、利払い費は金利上昇の影響で昨年より2.5兆円増えて13兆円となった。
2. 質の高い公共サービスを実現するため、積極財政そのものは否定しないが、その財源の確保が重要である。とくに、高市政権は所得税やガソリン税の暫定税率の廃止などの減税を進めているが、与党・政府の税制改革大綱でも必要とされる2.2兆円の財源は現状1.2兆円の確保にとどまっている。また、税収の伸びを反映し、新規国債の発行額は2年連続で30兆円を下回ったものの、普通国債の残高は26年度末に1,145兆円に達し、過去最大を更新する見込みである。こうした点を含めて、政権が掲げる「責任ある積極財政」とは認めがたい。
自治労は、公共サービスを切り捨てる「緊縮財政」や財源を担保しない「放漫財政」とは一線を画し、引き続き質の高い公共サービスの拡充と必要な財源の措置を求めていく基本スタンスのもと、国会での議論などを通じて、政府の予算案に対する必要な見直しを求めていく。
3. 2026年度の地方財政対策については、一般財源総額が交付団体ベースで約67.5兆円(前年度比3.7兆円増)と前年度を上回る水準が確保された。地方交付税総額は20.2兆円と前年度から1.2兆円の増額となった。自治労をはじめとして地方団体が求めてきた物価高・官公需の価格転嫁への対応、地方公務員の人件費の確保、インフラ整備や公立病院への支援などについて一定程度反映されており、方向性として評価できる内容となっている。また、昨年度に続いて、臨時財政対策債の新規発行額をゼロとしたうえで「臨時財政対策債償還基金費(仮称)」(0.8兆円)を創設し、交付税特別会計の借入金残高を2.9兆円縮減したことは地方財政の健全化が進んでいると評価できる。
4. ガソリン・軽油引取税の暫定税率の廃止に伴う安定財源の確保については、2027年度の税制改革で検討することになり、財源の確保については先送りされた。また、自動車関連税の環境性能割が廃止されることで、自治体の税収源となる約1,900億円のめども立っていない。2026年度の地方財政対策では、軽油引取税や環境性能割の廃止に伴う減収については、地方特例交付金で全額を補填(0.7兆円)することになったが、引き続き、恒久的な代替財源の確保を求めていく必要がある。
5. 物価高・官公需の価格転嫁への対応として、委託料や維持補修費などについて0.6兆円の増額を計上するとともに、価格転嫁に積極的に取り組む地方自治体の財政需要を交付税の算定に反映させるとしている。各自治体現場では、委託先・指定管理先で働く労働者の賃金・処遇を改善するためにも、委託費などへの価格転嫁を進めるなど、直営・委託等の方式にかかわらず安定的に公共サービスが供給されるように対応する必要がある。
6. 地方公務員の給与改定について、2025年人事委員会勧告に伴う給与改定に要する経費として6,800億円を確保し、うち会計年度任用職員分が800億円とされている。また、会計年度任用職員の給与等については一般行政経費(単独)から給与関係経費に移し替えがされ、1兆9,600億円を計上した。常勤職員と同時に会計年度任用職員の賃上げも織り込み、より会計年度任用職員の処遇改善にかかる財源が明示された措置ともいえる。各自治体単組では、こうした国の地方財政対策を踏まえ、常勤職員と会計年度任用職員の処遇改善を同時に求めていく必要がある。さらに、2026年度の給与改定に備えて、一般行政経費(単独)に「給与改善費」(4,000億円)を計上している。この「給与改善費」は2025年度から措置されており、2026春闘などを通じて積極的な賃金引上げを求めていくことが重要となる。
7. 持続可能な地域医療提供体制の確保に向け、物価高騰を踏まえた病院事業繰出金の増額や、不採算地域における医療提供体制の確保については一定評価する。とくに、公立病院の建築単価が昨年度より大幅に引き上げられた点は評価できる。一方、2025年度補正予算や2026年診療報酬改定における本体3%超の改定については、医療機関の経営改善や賃上げ原資としては不十分であり、医療従事者が賃上げ基調から取り残されていると指摘せざるを得ない。引き続き、政府には、物価上昇に機動的に対応できる仕組みの構築など、さらなる配慮を求めていく。
8. 介護報酬および障害福祉サービス報酬の改定は、原則として3年に一度の実施だが、物価高騰や深刻な人材不足への対応として、次期2027年改定を前倒しし、2026年6月に異例の臨時(期中)改定となる。その結果、介護報酬は全体でプラス2.03%と過去最高水準の引き上げとなり、障害福祉サービス報酬についても全体でプラス1.84%の改定となる。とくに、介護職員等処遇改善加算の対象をすべての介護従事者に拡大した点を評価する。ただし、処遇改善は継続する喫緊の課題であり、賃金水準の低さを背景とした他業種への人材流出に歯止めをかけるためにも、引き続き2027年改定にむけ、基本報酬の増額を求めていく。
9. 学校給食費の無償化については、負担軽減のための「給食費負担軽減交付金」(50%負担)が創設され、国から都道府県に交付することとなった。なお、地方負担分(50%)については地方交付税の基準財政需要額に算入することになる。ただし、軽減交付金の基準額を超える分については学校給食法に基づき、保護者から徴収可能とされていることから、完全な無償化が真に実現するのか、自治体によって差が出ないのか点検し、不十分さを指摘していく必要がある。
10. なお、2026年度の予算案と併せて、税制改革大綱も閣議決定されており、税制面についても懸念すべき課題や解明すべき事項もある。
2026年度の税制改革大綱では、所得税の非課税枠、いわゆる「年収の壁」を178万円に引き上げることになった。地方交付税の影響について懸念する声もあり引き続き注視する必要がある。また、軽油引取税や環境性能割の廃止に伴う地方の減収についても代替となる恒久財源の措置を求めていく。
11. ふるさと納税制度については、住民税控除額に193万円の上限を設け、仲介業者への手数料を段階的に引き下げることになったが、「居住地課税」の原則などの基本的問題は解決されず、依然として地方間の税収の奪い合いとなる構図であることから、制度の廃止を含めて、抜本的な見直しを求めていく必要がある。
12. さらに、所得税額に1%を上乗せする「防衛特別所得税」が2027年から新設されることに伴い、「復興特別所得税」の税率を同年から2.1%から1.1%へ引き下げ、課税期間を10年延長することになった。とくに、防衛のための増税は期間を定めない事実上の恒久措置になる見通しで、明らかな負担増である。そもそも、防衛費をGDP比2%にする「総額ありき」の防衛費引上げには反対し、増税についても撤回を求めていく。
13. また、与党の税制改革大綱では、「偏在性の小さな地方税体系の構築」として、法人事業税資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とし、所得割・収入割に係る特別法人事業税・譲与税の割合を高めるなどの措置を検討し、2027年度の税制改革で結論を出すとしている。これは東京都の税収の一部をさらに国税化して、地方に配分することであり、地方税の総額を増やすことにはならない。本来、必要なことは、偏在性が少ない消費税について国税から地方税へ税源移譲するなどの地方税の充実である。今回の改革の方向性には問題があることから、今後も地方税の拡充をめざして、国会・省庁対策を進める。
14. 本部は地方財政対策と税制改革に関する問題点や課題について、来る通常国会において、協力国会議員団や立憲民主党をはじめとする協力政党を通じて、問題の解明と自治労の考え方に沿った政策・予算の確保を求めていく。
また、地方一般財源総額は、「経済財政運営と改革の基本方針2024」に基づき、2027年度まで2024年度比実質同水準ルールにも即して確保される方針であるが、2026年度の一般財源総額について物価高に対応した総額が確保されているかを検証したうえで、必要な地方財政の確保を求めていく。
県本部・単組においては、2026年度地方財政対策を精査し、2026春闘期のスタートにあたり、自治体当局による「財政難」を口実とした不当な賃金・処遇の引き下げなどを断じて許すことなく、積極的な賃金引き上げの取り組みを進めていこう。







