2026/03/03
2月28日に開始された米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃に対する書記長談話を発出しましたので掲載します。(最下段よりWordファイルをダウンロードできます)
米国とイスラエルによるイラン攻撃に対する書記長談話
2月28日、米国とイスラエルがイランに対して軍事攻撃を開始した。国連憲章第2条4項では、国際関係における武力による威嚇または武力の行使を明確に禁止しており、武力行使が許容されるのは、安保理決議に基づく集団安全保障措置、あるいは武力攻撃が発生した場合の自衛権の行使という、極めて限定された場合のみである。今回の攻撃は、国連憲章および国際法秩序への重大な違反である。
米国などが攻撃の理由に挙げたイランの核開発は、核不拡散の観点から看過できない問題ではあるものの、経済制裁を解除する代わりに核開発を停止するとした「イラン核合意」を一方的に破棄し、イランを追い詰めたのは第一次トランプ政権である。核不拡散や地域の安全保障という課題は、外交交渉と国際的枠組みによって解決されるべきであり、それこそが国際社会が長年築いてきた「法の支配」「武力に訴えない秩序」である。
今回の軍事衝突により、ホルムズ海峡でのタンカーの航行にも大きな困難が生じていると報じられている。このような事態が長期化・深刻化すれば、日本を含め多くの国々へのエネルギー供給や、世界経済にも重大な影響をもたらす。また、これ以上の中東地域の不安定化は、さらなる紛争やテロを誘発する危険性も指摘せざるを得ない。
米国およびイスラエルは、直ちにすべての軍事行動を停止し、国連を中心とした多国間外交と法の支配に立ち返ることを強く求める。
一方で、こうした国連憲章と国際法に明白に反する暴挙に対し、日本政府が何ら明確な異議や批判を表明していないことに強い危惧と深い憂慮を禁じ得ない。
日本国憲法は、武力による威嚇または武力の行使を否定し、国際紛争を平和的に解決する立場を国是としてきた。日本はまた、世界で唯一の戦争被爆国として、武力行使の悲惨な帰結を最も切実に訴える道義的責任を負っている。にもかかわらず、明白な国際法違反の疑いがある軍事行動に対して沈黙を貫くことは、日本が長年掲げてきた「法の支配」や「平和外交」を自ら空洞化させる行為にほかならない。沈黙は中立ではない。明白な暴力に対して声を上げないことは、それを容認することと同義である。
このまま政府が同盟関係を理由に、国際法違反を黙認し、あるいは事実上追認する姿勢を示すならば、それは将来、日本が武力行使の被害者となった際に、国際法による保護を主張する道義的基盤をも棄損しかねない。
したがって、日本政府は直ちに、国連憲章と国際法の原則に立脚し、武力行使に対する明確な批判を行い、いかなる同盟関係よりも、国際法と平和的解決を優先する姿勢を内外に示し、中東地域の緊張緩和に向け、外交的努力を尽くすべきである。
あらためて私たちは、日本政府がこの歴史的責任を自覚し、平和国家としての原点に立ち返ることを強く求めるとともに、引き続き国際的には国際公務労連(PSI)、国内では平和フォーラムや原水禁などと連帯して、平和と民主主義、人権を守る活動に取り組んでいく。







