2023/11/17
都市公共交通評議会は11月13日、東京・参議院議員会館において、国土交通省に対し2024年度政府予算要求中央行動を行った。要請には、鬼木誠参議院議員、本部の森下総合政治政策局長、氷室政策局長、都市交評から福田議長、佐田副議長、青山事務局長が参加した。国土交通省側からは、総合政策局、鉄道局、自動車局の担当者が対応した。
冒頭、 自治労を代表して森下総合政治政策局長が挨拶を行い「公営・公共交通利用者数はいまだにコロナ前まで回復していない」と述べ、燃油高騰などによる経費増加でさらに経営が悪化し、バス事業を中心に減便・路線廃止の動きが拡大しつつあることを強調。人員不足の解消など地域公共交通確保のための予算の拡充を訴えた。続いて鬼木参議院議員は、「地域公共交通は地域を支えるために必要不可欠な公共サービスである。われわれ自治労は『地域に寄り添う』という立場でサービスを担い提供していると説明。そのうえで、公共交通が将来にわたって安全で安心して利用できる移動手段として維持・存続できるよう予算確保を強く要請した。
国土交通省側は、地域公共交通の重要性について自治労と同じ思いであるとしたうえで、「コロナや燃料高騰の影響で厳しい経営状況にあるローカル線を含めた交通事業の存続支援、また、喫緊の課題である自動車運転者の人員確保等のための予算確保に努力している」と説明。さらに、「交通分野のみならず医療・介護や子育て・教育、エネルギーなど他分野との『共創』により地域公共交通を維持、確保していくことが重要」と述べ、要請項目について回答した。
これを受け都市交評は、バス運転者の人員確保問題について、全国的にさらに深刻化状況にあるとしてうえで、「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)が来年4月より施行される。いわゆる2024年問題として労働時間規制による物流や路線バス等への影響が危惧されているが、根本的な問題は交通運輸分野の労働者の処遇改善など構造的な改革が必要」と強調。バス運転者をはじめ交通労働者を魅力ある職業にするための施策強化、予算拡充を改めて要請した。また、ライドシェア、次世代自動車の導入などによるカーボンニュートラル、ウーバーイーツ等の自転車での配達員や電動キックボードなどによる道路交通環境悪化等についても問題点を指摘し、対策や施策強化を求めた。
最後に福田議長が「路線バスや地下鉄・路面電車など交通分野は『人』で成り立っている。繰り返しになるが、人材をどう確保できるかであり、そのための大幅な処遇改善を最重点に取り組んでいただきたい。私たちも公営・公共交通の存続にむけて最大限努力していく」と述べ、地域公共交通に関わる十分な予算確保がはかられるよう重ねて訴え要請を終了した。