「経済財政運営と改革の基本方針2026」閣議決定に対する談話(2026年7月27日)

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「経済財政運営と改革の基本方針2026」閣議決定に対する談話(2026年7月27日)

2026/07/27

7月21日、政府が「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2026」を閣議決定したため、書記長談話を発出しましたので掲載します。(最下段よりWordファイルをダウンロードできます)

「経済財政運営と改革の基本方針2026」閣議決定に対する談話

1. 「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2026」が7月21日に閣議決定された。2021年に「骨太方針」が策定されて以降、はじめて「財政健全化」の文言は消え、強い経済の実現にむけて、積極財政への転換を打ち出している。これまで財政健全化目標に掲げてきた単年度のプライマリーバランス黒字化の縛りを完全に外した。景気変動や成長投資の必要性に応じて、プライマリーバランスの「一時的な悪化も許容し得る」と表明し、歳出拡大しやすい環境を整えた。さらに、予算編成について、当初予算を重視し、補正予算依存からの脱却を掲げる一方、基金3年活用ルールの見直しによる複数年度の予算執行を拡大する方向性を打ち出すなどの論理矛盾を来しており、実質的に財政規律のタガが外れている。
2. 政府は、2027~2040年度を「中長期経済財政計画」とし、新たな財政目標に、国・地方の総債務残高対GDP比の安定的な低下を新たな財政目標に掲げている。2040年までの長期間、ほぼ予算統制を無視した財政運営を進めようとしている点は、極めて深刻な問題であり、定期的な財政検証と計画の見直しは、当然に必要である。そのうえで、高市政権は、2040年までに累計370兆円を超える莫大な官民投資を行い、実質1%、名目3%を上回る経済成長によって、総債務残高対GDP比は低下するとの見通しを示している。しかし、この抽象的な指標がどの程度、低下すれば望ましいかの判断基準もなく、甘い自己評価のもとで財政運営が行われる危険性がある。
3. 高市政権肝入りの国内投資は、シーリングを設けず、通常の歳出と別枠で、「強く豊かな日本」投資枠を創設するとしており、予算膨張による財政規律の緩みが懸念される。日銀の金融政策については、6月末に公表した「骨太方針」原案で、利上げへのけん制と読み取れる表現に市場が反応し、長期金利の指標となる国債利回りは30年前の水準まで上昇した。最終的に、日銀の独立性を強調する記載を追加したものの、財政規律の緩みと低金利誘導に対する市場の懸念が表面化している。さらに、高市政権発足以降、歴史的な円安傾向が続き、これを意識するかのように「市場の信認確保」の文言を乱発しており、高市政権自らが経済財政運営の危うさを示している。
4. 「骨太方針」と同日に閣議決定された「地域未来戦略」については、都道府県を超えた地域ブロック単位で、官民投資を起爆剤に投資支援を行うとし、「稼ぐ地域」の発想から、「地域産業クラスター計画」や「地場産業成長プラン」の強力な推進が打ち出されている。しかし、これまでの地方創生と同じく、地方自治体に産業成長プランの策定を丸投げするものであり、各種計画づくりに地方自治体の資源が動員されかねず、地域間格差の拡大が懸念される。経済戦略だけで地域の未来は描けないことを認識すべきである。
5. 賃上げ環境整備については、1章割かれた前年の「骨太方針」から、政策の優先順位は明らかに後退した。経済成長による賃上げの実現は、経済界に配慮した政策の方向性であり、物価高騰で実質賃金が低下するなかで、賃上げに焦点をあてた政策を維持すべきである。他方、地域経済に影響を与える官公需については、「官公需における価格転嫁・取引適正化加速化プラン」に基づき、2027年度末までに「実勢価格を踏まえた予定価格の作成や低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の導入・適用等を100%実施する」とした。物価高騰が続くなかでは当然の方針であり、政府にさらなる地方財政措置の拡充を求めるとともに、県本部・単組は、自治体に対し、実勢価格を反映した委託、入札・契約とするように交渉を強めていく必要がある。
6. 社会保障関係費は、現役世代の保険料の上昇を止め、引き下げていくとの方針を実現するため、マクロ的な社会保障負担率の目標を検討するとしたが、社会保障機能が弱体化することがないよう、政府の検討動向を注視しなければならない。他方、医療、介護、保育、福祉等の公定価格で対応する分野について、物価・賃金の変動への対応や処遇改善、人材確保に取り組む姿勢が示されたことは一定評価するものの、全産業の賃金引上げ水準に追いついておらず、診療報酬・介護報酬の機動的な改定を求めていかねばならない。
7. 医療分野については、小児・周産期医療、救急医療、精神医療など地域に不可欠な医療提供体制の維持・充実を掲げたことは重要であるが、2040年を見据えた病床適正化や医療機関の連携・再編・集約化は、地域医療を支える公立病院の役割を十分踏まえ、住民の医療アクセスを損なわないことが前提である。医師偏在対策や医療人材の確保、医療機関のDX・AXの推進については、地域の実情を踏まえるとともに、とくに、システム関係経費は、国の責任により、十分な財政支援を講じるべきである。
8. 飲食料品の消費税の扱いについては、社会保障国民会議の中間とりまとめを踏まえ、8月上旬に方針を決定するとし、給付付き税額控除の制度設計とともに、結論を先送りした。国・地方の社会保障4経費48.9兆円に対し、社会保障の基幹税である消費税は、消費税(地方交付税原資分を含む)および地方消費税の総額は34兆円であり、すでに社会保障費は賄えない現実がある。さらに、社会保障国民会議において、飲食料品の消費税を1%に引き下げた場合、地方税と地方交付税の合計で1.6兆円もの財源不足が生じるとの試算が示されているが、これまでの議論で、安定かつ確実な代替財源が示されていない。代替財源のあてのないままの消費税の引き下げは、「無責任な積極財政」にほかならず、断じて容認できない。給付付き税額控除の制度設計とあわせて、政府の動向を監視しなければならない。
9. 地方一般財源総額は、2026年度の地方財政計画の水準を下回らないよう同水準を確保するとした。しかし、急騰する物価への対応と賃上げ環境の整備を実現するためには、国の一般歳出の伸び率や、「骨太方針2024」で定めた前年同水準ルールにこだわることなく、「経済・物価動向を的確に反映し、一般財源総額の増額確保が当然に必要である。あわせて、会計年度任用職員を含めた、給与改善費の確保を求めていかねばならない。
 一方、前年の「骨太方針」では、地方自治体の計画策定の効率化や経由事務の廃止など、国の関与や制度そのものを見直すことで自治体の負担軽減をはかる姿勢が示されていたが、DX・AXによる生産性向上に主眼が置かれ、「地方分権改革」の文言も消えた。国が整備する標準的なシステムへの適合を通じた効率化へと政策の重心が移っており、地方分権改革からの逆行のみならず、現場が求める実質的な負担軽減につながらないことが懸念される。
10. 前年の「骨太方針」では、東京一極集中の是正にむけて、東京圏から各地に若者の流れを倍増させることや、人や企業の地方分散を推進する政策が強調されていた。しかし、「骨太方針2026」では、「多極分散」を掲げつつも、副首都を中心とする拠点形成のみが強調されている。副首都の整備は、特定の拠点への機能の集約であり、「東京一極集中」が「東京都と副首都の二極化」に置き換わるだけで、地方圏の衰退は進み、「多極分散」に逆行するものと言わざるを得ない。さらに、副首都法案の審議で明らかにされた通り、副首都整備にかかる財政規模、財源ともに不透明であり、2040年までの莫大な官民投資の一環として、特定拠点への利益誘導と、無秩序かつ莫大な財源が投入される可能性があり、厳しく監視する必要がある。
11. 安全保障については、「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」の「三文書」に基づき、装備・体制の両面で、5年以内で防衛力の変革を行うこととした。さらに、重要装備品に対する軍需工場の国営化の検討を打ち出すなど、「高市カラー」を鮮明にしている。物価高騰、円安傾向、金利上昇が進むなかで、優先すべきは、生活不安の解消であり、防衛力の増強と防衛費の増額ではない。国民生活の不安解消に全力を挙げるべきである。
12. 「骨太方針2026」を受けて、概算要求、年末の予算編成作業に移ることになるが、物価高騰が進行するなかで、足元の生活不安は取り除かれていない。自治労として、「骨太方針2026」に掲げられた課題を注視するとともに、引き続く、政府予算要求行動などを通じて、地方財源の充実と賃金引上げ環境の整備にむけて取り組むこととする。

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