単組発:福岡県・糸島市職員労働組合~職場の「見えない課題」データで可視化~

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単組発:福岡県・糸島市職員労働組合~職場の「見えない課題」データで可視化~

2026/08/05

福岡県・糸島市職労では、2025年から管理職を含む全職員を対象にエンゲージメント調査を行っている。調査導入の背景や組合活動への生かし方について話を聞いた。(取材日:7月15日)

エンゲージメント調査とは?
従業員が組織や仕事に対してどれだけ前向きな気持ちを持ち、自発的に貢献しようとしているかを測る調査。エンゲージメントが高い組織では、離職率が低い、 メンタルヘルス不調が少ないなどの傾向が見られる。民間企業だけでなく、自治体などでも導入が広がりつつある。

離職者増加の真の原因に迫りたい

 近年、職員の早期退職や病休が急増したことから、執行部として組織に内在する問題の本質を明確にする必要性を感じました。例年春闘や確定闘争期に行う組合員アンケートでは、表面的なものしか見えてきません。真の原因を分析し、実効的な解決方法を探るためには、エンゲージメント調査が最適と考えました。同時期に自治研委員会から、新たな活動を展開したいとの提案があったため、自治研活動として調査を進めました。調査票の作成から分析まで AIも使いながら自前で行い、eNPS(従業員推奨度)方式で評価しました。

突きつけられた現実は大きな収穫

 調査結果には、執行部の課題認識との大きなズレは見られませんでしたが、エンゲージメント自体が想定よりも厳しい数字だったというのが正直な感想です。  
 また、エンゲージメントスコアと離職意向に相関関係があることが見えてきました。エンゲージメントを高める要求こそが離職防止につながることが分かったのは大きな収穫と捉えています。

「情報は力」―労使交渉でデータが大きな強みに

 調査以降、当局への要求作成の際に、エンゲージメントを高めるための要求の優先度を上げ、実効的な改善を求めています。
 調査結果を労使で共有することで、エビデンスに基づいた労使交渉ができています。客観的なデータがあることで一部の「声の大きな人」 の意見に左右されにくくなると思います。本来こうした調査は当局が行う性質のものかもしれません。しかし、「情報は力」です。組合側が当局以上に職場の実態を把握しておくことは、組合にとって大きな強みになると思っています。
 
糸島市役所職員エンゲージメント調査 設問例
・糸島市役所で働くことを親しい友人等にどの程度おすすめしたいと思いますか。
・担当業務にやりがいや充実感を感じますか。
・担当業務が市民や組織に貢献していると感じますか。
 

これからの労働運動の新しい形に

 
丹羽野 真也(にわの・しんや)さん
(株)BeOne代表取締役
元松江市職員ユニオン書記長
 多くの単組では、職場アンケートを実施し、その結果をもとに職場改善や労使交渉に取り組まれています。そうした積み重ねは、これまでの自治労運動を支えてきた大切な実践です。その上で、糸島市職労の取り組みは、「何が課題なのか」だけでなく、「なぜその課題が生まれているのか」という背景まで可視化しようとした点に、大きな意義があると感じました。
 近年、BeOneでも労働組合や自治体から、サーベイ調査と、その結果から見えた課題を改善する研修の依頼が増えています。データをもとに課題を共有し、改善につなげることで、組合員にも労働運動の意義を実感してもらいやすくなり、組織力の向上にもつながります。
 糸島市職労の実践は、これからの労働運動の新たな形を示しているのではないでしょうか。
 
 
(機関紙じちろう2026年8月15日号より転載)

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