2025/03/05
自治労本部・衛生医療評議会は3月5日、厚生労働省内で「医療従事者の意識・影響調査結果」について記者発表を行った。職場をやめたいと感じる組合員の割合は昨年とほぼ変わらず77%で、カスハラを経験した人はこの1年で26%にのぼった。

医療機関は、コロナ後の補助金廃止や急激な物価高騰の影響で、経営が悪化している。加えて、人員不足や業務負担の増加、仕事に見合わない賃金など、働く人たちの不満は高まっている。さらには、カスタマーハラスメント(カスハラ)の問題もあり、多くの職員が離職を検討せざるを得ない要因を抱えていることが、改めて明らかとなった。
調査では「現在の職場を辞めたい」と思う人の割合(「常に思う」・「しばしば思う」・「たまに思う」の合計)は77%にのぼり、昨年から微減(2%減)するも依然として高水準にある。職種別に見ると、助産師、看護師については84%もの職員が離職を検討したことがあり、次いで看護補助者が72%となっている。
離職を検討する理由としては「業務が多忙」が最多で、次いで「賃金に不満」、「業務の責任が重い」、「人員不足」となっている。「賃金に不満」と回答した人は前回調査より増加しており、医療従事者の賃上げが不十分であることを物語る。賃上げどころか、経営悪化により人件費を抑制しようとする病院も多く、これ以上人員や賃金がカットされるのであれば真剣に離職を考えざるを得ないという声もある。

収入については67%が不満(「不満」・「やや不満」の合計)と感じており、昨年より3%増加している。不満の理由は「物価上昇に比べ賃金が上がっていない」が最多、次いで「業務量に見合っていない」「業務の責任に見合っていない」となった。
経営不振で賃金は上がらないのに業務の過酷さは増している、若年層のみ給料が上がって中堅以上は上がらないという不満も多い。

カスハラについては、この1年で自身が受けたことがあるという人は全体の26%、自分が受けてはいないが職場にあると回答した人は34%にのぼった。受けた内容としては、暴言、説教、罵声や脅迫、長時間の拘束など。医療職場は患者との接触の機会が多いため、暴力やセクハラ行為が起こりやすいことも特徴といえる。カスハラは業務を妨げるばかりでなく、職員の離職へとつながりかねない深刻な問題である。
これら調査結果から見えるのは、医療現場では職員が働き続けたくても続けられない厳しい現状があるということだ。やりがいや責任感だけで働き続けることはできない。
医療提供体制の維持・存続には、病院経営の安定と医療従事者が安心して働き続けられる環境と適切な処遇が必要だ。賃上げはもとより、労基法の遵守徹底やカスハラへの対策が急務である。
自治労は、これからも医療に対する財源確保と医療現場の課題解決にむけた取り組みを進めていく。
