2026/07/15
豊富な水に恵まれた日本で古くから行われてきた水力発電。山々に降った雨や雪が川となって流れ、流れる力が電気をつくり、水は再び自然の循環に戻っていく。再生可能エネルギーへの期待が高まるいま、水力発電の可能性が再注目されている。山梨県企業局が運営する柚ノ木発電所を訪ねた。
山梨県企業局では、1957年に西山発電所の運転を開始して以来、早川、笛吹川などで28カ所の発電所を運営している。最大出力は全体で12万kWを超え、年間で約3億9千kWh(約11万世帯分)の電力を供給している。電気は民間の電気事業者に売電し、その利益の一部は県の一般会計に繰り出される。
柚ノ木発電所は、笛吹川水系11発電所の中でも最大規模の発電所として、1975年に上流の広瀬・天科発電所と同時に建設された。広瀬ダムから取水して発電を行う広瀬・天科・柚ノ木発電所では、需要の増加する時間帯に計画的に発電するピーク運転を行っている。
再エネ時代を支える水力発電の強みを未来へ
急斜面に伸びる水圧鉄管、24時間稼働する制御システム、そして自然相手の緊張感。水力発電の現場では、多くの技術と経験によって安定供給が支えられている。現場を守る職員に水力発電の強みと課題を聞いた。
―水力発電の強みは何ですか?
青沼 燃料を必要としないという点では太陽光や風力発電も同じですが、時間帯や天候によって出力が左右されるこれらの方法とは異なり、水力発電は24時間安定的な発電が可能です。また、ダム式の発電所ではピーク運転で電力需要に合わせた計画的な発電が可能です。発電後の水も調整池に貯めて農業用水や上水道の需要に合わせて利用できます。こうした点が他の再エネより優れていると言えるでしょう。
―発電所の管理で苦労するのはどんなことですか?
青沼 発電所での主な業務は、機械の点検や、取水口の見回りなどです。水圧鉄管の点検は安全帯を付けて急傾斜を上るので、かなり体力が必要です。修理が必要な場合は工具などを持って一日に数回往復することもあります。
県企業局が管理するすべての発電所の監視・制御は、甲斐市にある発電総合制御所で、24 時間体制で行われています。トラブルが起こると発電総合制御所から連絡が入り対応します。自然相手の仕事でもあるので、台風などの時は夜中でもいつ連絡が入るかと落ち着かないですね。トラブルがあった時に自分の技術で解決できるのはこの仕事のやりがいです。
―水力発電の展望を聞かせてください
近藤 大規模な水力発電を可能にするダムは、すでに全国で開発され尽くしています。そのため現在は小川や農業用水路を利用した小水力発電の開発が進められています。山梨県でも2010年以降10カ所の小水力発電所を新設しましたが、コストパフォーマンスの点では課題もあります。効率的に発電量を増加させるには、現在稼働している発電所の設備更新が有効です。再エネ政策はこれからの重要な課題です。水週間を機に水力発電にも関心を持ってもらいたいです。
(機関紙じちろう2026年7月15日号より転載)







