小予算で導入のバスロケシステムなどを調査◇青森市交通部でバス部会を開催◇

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小予算で導入のバスロケシステムなどを調査◇青森市交通部でバス部会を開催◇

2024/06/20

「改善基準告示」施行後のバス路線、人員確保問題などを協議

 自治労都市公共交通評議会は、6月12~13日の2日間、青森市交通部でバス部会を開催しました。今回の部会は、4月に施行された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」の影響によるバス運転者や路線等の状況や課題を共有化し、それらを踏まえた2025年度の国土交通省予算に関わる要請内容の協議等を目的に開催。あわせて、独自に低予算で開発、運用したスマートフォンなどでバスの位置や遅れなどの運行情報、路線検索等をリアルタイムで把握できるバスロケーションシステム(バスロケ)の概要等を調査、視察しました。

 初日は、東部営業所でバスロケやバス車両の整備体制等を調査。バスロケについては、担当の管理課主幹の三浦さんから、独自開発、導入までの経緯、利用状況等について説明を受けました。有数の豪雪都市青森市が冬季にバスの遅れが常態化し、その対応に苦慮してきたことが遠因であり、かねてより交通部担当者が市民・利用者にリアルタイムで運行情報を提供し利便性を向上させたいとの強い思いが開発のきっかけとなったと説明。「システムの導入は大手の業者に発注すると多額の費用がかかるため、事業者単独での開発・導入は難しかったが、今回、地方のソフト会社や市民・利用者等の協力を得ることで費用を1/10程度に抑え、導入できた」と、経緯が報告されました。マスコミ等でも大きく取り上げられ、他都市からの問い合わせや視察も多く、利用の拡大、利便性の向上につながりつつある、とのことです。

 引き続き、定期整備等整備体制、整備職員の業務量等について説明を受けながら、バスの車庫を視察しました。他都市同様に人員不足と高齢化による技術継承問題に直面しており、バス事業を下支えする部門も将来に不安を抱えている現状が報告されました。

 2日目は第2回部会を開催。冒頭、開催県本部の佐藤委員長より来賓挨拶を受け、続いて奥田書記長より都市交評が年2回街宣行動等を行っている「くらしをささえる地域公共交通確立キャンペーン」の取り組み経過の報告を受けました。会議では、各単組よりバス事業の現状や課題、サービス向上の取り組みなどについて報告を受けました。総じて、「『改善基準告示』の施行後想定を上回る人員不足となりその対応に苦慮している」、「地方都市を中心に運転者、整備者とも新規の応募が少ない」ことなどが報告され、バス事業従事者の大幅な処遇改善の必要性が浮き彫りになりました。

 そうした中、長崎交通労組より、新規職員の採用方法について「これまで会計年度職員として採用し、一定期間後に正規職員に登用することにしていたが、当局に強く要求し粘り強く交渉した結果、4月より正規職員として採用することに変更(改善)した。これにより応募者は確実に増えている」との報告もあり、先進的な事例として同様の取り組みを進めていくことを共有、意思統一しました。また、民間バス会社でも、導入実績がある高卒新卒者を採用し事務補助等に従事しながら大型2種免許所得を養成していく採用形態についても、長崎・佐賀・松江の3単組より導入や当局と導入の協議を予定している内容の報告もありました。

 最後に、福田議長が、「改善基準告示の施行や2024年問題により、物流への影響が強く懸念され実際に影響も出ているが、想定を大きく超えるほどではない状況だと思う。一方、バス事業では人員・担い手不足がより深刻化し、今後も路線の減便や廃止の動きが大きくなることが危惧される。各単組からもそうした報告が相次いだ。この間指摘してきたが、やはり大幅な処遇改善、魅力ある職場への抜本的な環境改善が喫緊の課題だ」と強調し、「2日間の部会で共有化した課題、先進事例等を持ち帰り、単組間の連携をさらに深め運動の強化をはかっていこう」、とまとめ、終了しました。

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